「さびしい」と「さみしい」。

「この2つのことばの違いを説明してみて」と言われたら、どのように説明しますか?

実は私、恥ずかしながら、この2つのことばを明確に使い分けたことは一度もなく、むしろ違いを意識したことすらありませんでした。

なぜなら、私が幼い時を過ごした関西ならではのことばの違いの方に気を取られていたからです。

例えば、鳥肌のことを「さぶいぼ」と呼ぶのか「さむいぼ」と呼ぶのか、タケノコを食べた時に口に残るイガイガした感じを「えぐみ」というのか「いぐみ」というのか、そんな関西人しか気にならないような違いです。

ちなみに、これらのことばの違いについては、自分の中で答えをまだ見つけられていません・・・。

話がそれた上に前置きが長くなってしまいましたが、今回は「さみしい」と「さびしい」の違いについて、深堀していきたいと思います!

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「さびしい」と「さみしい」、由来から紐解く意味の違い

疑問を持つ子供

実は鎌倉時代以降からさまざまな文献で使われている「さびしい」に対し、「さみしい」ということばは、江戸時代以降から使われるようになった、比較的新しいことばなのです。

「さびしい」の元になることば「さぶし」が平安時代に「さびし」に変化し、「さびしい」となったのが、ことばの変化により「さみしい」も使うようになったのではないか、と考えられています。

日本語では、バ行の音とマ行の音が入れ替わることがあり、たとえば「けむり」も実は「けぶり」が変化したことばなのだそう。

「さびしい」も音が入れ替わり、「さみしい」になったというわけですね。

そういえば、私が小さい頃に気になっていた「さぶいぼ」と「さむいぼ」もこの例なのかもしれません(寒いことを「さぶい」という、ただの方言かもしれませんが…)。

同じ時代に生きているにも関わらず、女子高生が話す日本語の意味が40代の私にはさっぱり理解できないように、ことばは常に変化している、ということなのでしょうね。

ことばが変化した、という観点から見てみると、常用漢字表の「寂しい」という漢字にあてられている読み方は「さびしい」だけ。

「さみしい」とは読まないそうです。

「『さみしい』なんていう新語は認めん!」と、常用漢字を決めた偉い人たちから言われているような気がするのは、私だけでしょうか・・・。

さらに掘り下げていくと、この2つのことばには、音の違いだけでなく、意味の違いもあるのがわかりました。

では、具体的に「さびしい」の意味から見ていきましょう。

国語辞典

「さびしい」

①その場所にいるはずの人や、存在するはずのものが、実際にはそこにはなくて、気持ちが満たされないという意味

②人がそこにいるとは感じられない(気配がない)、ひっそりとしているという意味

つまり、「さびしい」には、気持ちをあらわすときに用いるときと、ただ単に状況を説明するときに使うときがある、ということです。

一方の「さみしい」は、①の意味でしか使わないのです。

つまり、「さびしい」には2つの意味があるのに対し、「さみしい」には1つの意味しかない、ということですね。

「さびしい」と「さみしい」、どちらでも使えるケースはコレ!

ノート

次に「さびしい」と「さみしい」、どちらを使ってもいい例を挙げてみましょう。

<例1>父が亡くなり、母は「さびしい」(「さみしい」)とつぶやいた。
<例2>バーゲンでつい買いすぎて、懐が「さびしい」(「さみしい」)。
<例3>寝台列車が次々と廃止になり、「さみしい」(「さびしい」)。

何となく①の意味をわかっていただけたでしょうか?

さらに理解を深めるために、「さみしい」が使えない②のケースの例文も、あわせてどうぞ!

<例4>あの道は夜、だれも通らず「さびしい」。
<例5>みんな都会に引っ越していって、ここは「さびしい」町になってしまった。

「さびしい」「さみしい」のどちらも使える例文とはニュアンスが違う、ということを感じていただけましたか?

音は違っても意味は微妙に違いますね。

【あと書き】

いかがでしたか?

ことばは日々進化している生き物で、意味やニュアンスは時代によって変わってきます。

常に「ことばのアンテナ」を張り、その時代に合ったことばが使える日本語の達人になりたいですね。

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