大空に舞う鯉のぼりを見ると、まるで子供が楽しそうに遊んでいるようで、日本の伝統文化っていいなーと思いますよね。
だけど、「鯉のぼりは5月5日の端午の節句に飾るもの」というのは知っていますが、その他にもまだまだ知らないことってたくさんありますよね?
たとえば・・・
「鯉のぼりの数ってなんで3匹なんだろう?」
「鯉のぼりの数ってどうやって数えるの?」
「単位は?」
などなど。
意外に知らないことが多いのではないでしょうか?
今回は、知ってるようで意外に知らない鯉のぼりについて、調べたいと思います!
鯉のぼりの数の意味ご存知ですか?

出典:photo AC
鯉のぼりといえば黒・赤・青の3色の鯉を思い浮かべると思いますが、実はこの数、3匹とは限らないのです。
子供の数だけ鯉のぼりがいてもいいんです。
その理由を、鯉のぼりが今の形になるまでの歴史から探っていきたいと思います。
その昔、中国には「節」という季節の変わり目に、無病息災や子孫繁栄、五穀豊穣といったことを祈り、神様へお供えをするという祭事がありました。
それが日本に伝わってきて、日本独自の風習と混ざり、その中の1つとして「端午の節句」として江戸時代に定着したんです。
この頃は、鯉の形を模した「鯉のぼり」は存在せず、庭に「武者のぼり」というものが立てられるようになりました。

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この武者のぼりには、子供に幸せな人生を送ってほしいという願いが込められた絵が描かれたのですが、子供の出世を願った絵として「鯉の滝登り」が描かれるようになり、現在の鯉のぼりへと進化していった、という訳です。
現在の鯉のぼりですが、もともとは「のぼり」という言葉からもわかるように、旗の形でした。
なので、鯉のぼりが今のように魚を模した形になったときには、黒い鯉の1匹だけしかいなかったそうですが、今では3匹が一般的になりました。
これは3が縁起の良い数字だから、という意味があるからのようです。
ちなみにこの鯉のぼり、黒がお父さん、赤がお母さん、青が子供というイメージの人が多いと思いますが、童謡「こいのぼり」では、大きい鯉(黒の真鯉)はお父さん、小さい鯉(赤と青の緋鯉)は子供たち、いう意外なものです。
赤い緋鯉(ひごい)はお母さんだと思っている人が多いかもしれませんね。
また、緋鯉は子供を表しているので、「うちは子供が3人いるんだけど」という方は、緋鯉の数を増やしてもOKです。
緑や紫といった色の緋鯉もありますので、子供が生まれたら、その子の為に鯉のぼりを用意する、というのも楽しいですよね。
鯉のぼりってどうやって数える?

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「鯉は魚だから1匹、2匹じゃないの?」と思う人が多いでしょうが、「旒(りゅう)」が正解です。
初めてこの「旒」という言葉を聞いた方も多いんじゃないでしょうか?
魚を数える単位として考えられるのは、動物を数えるときによく使う「匹」、かつおの一本釣りなんかで使う「本」、スーパーで「サンマ1尾」といった表記で目にする「尾」といった単位を想像しますよね?
この「旒」という単位、もともと旗やのぼりを数えるときに使うものです。
鯉のぼりが今の形になるまでの成り立ちを考えると、元々は「武者のぼり」という旗が進化してできたものなので、「旒」というのだと推測できますね。
ちなみに、生きている魚の鯉の数え方は、「折(おり)」というそうです。
日本語って難しいですよね(汗)。
正しい単位は「旒」と言われても、陣地や馬に家紋を描いた旗を掲げて戦っていた武士の時代とは違い、現代を生きる私たちには馴染みのない単位です。
なので、一般的には「匹」を使うことが多いようです。
ニュース番組でも「匹」を使っていたり、インターネットなどで販売している鯉のぼりを販売している業者さんのサイトでも「匹」がメジャーです。
「武者のぼり」が「鯉のぼり」に進化したように、鯉のぼりの数え方も「旒」から「匹」へと定着していくかもしれませんね。
いかがでしたか?
鯉のぼりの形は違えど、子供の健やかな成長や出世を願う親の気持ちは、今も昔も変わらないですよね。
最近では、住宅事情で昔のような大きな鯉のぼりを目にすることが少なくなったように思いますが、先祖から脈々と受け継がれてきた日本独自の文化を大事にしていきたいものです。