春の風物詩といえば花見。

桜の木をみながら、花見を楽しむとき、「ああ、四季を感じることができる日本人に生まれてよかった」と思う人は多いのではないでしょうか。

私もその一人です。

私自身、学生時代は桜のはかなさを見ながら、いつもなら買わないようなリッチなお弁当を食べつつ、気の置けない友人と女子トークをする、というのが春の楽しみでした。

一方で、新入社員の人にとっては、先輩や上司から「花見の場所取りお願いね」と頼まれ、肌寒い日にマットを敷いて、みんなが来るのをひたすら待つ・・・なんていう、あまり楽しくないイメージかもしれませんね。

そんな老若男女問わず楽しむ花見ですが、花見をするようになったのは一体いつからなのでしょうか。

今回は、花見の歴史について調べてみたいと思います。

スポンサーリンク

花見のはじまりと歴史

桜

出典:photo AC

花を愛(め)でながら、宴(うたげ)を楽しむという現在の花見スタイルが始まったのは奈良時代だといわれています。

このころは庶民が楽しむものではなく、貴族が興じるものでした。

それに加えて今と大きな違いがひとつ。

じつは愛でる花が桜ではなく、梅や桃だったのです。

なぜ桜ではなく、梅や桃だったのでしょうか?

その理由は、そのむかし、中国から梅や桃の木がたくさん日本に贈られ、植樹されたからです。

それらの木が咲かせる美しいピンク色の花の鑑賞を楽しむようになったというわけです。

花見の起源がわかったものの、「いつから梅や桃にかわって桜を愛でるようになったんだろう?」という疑問が出てきましたね。

所説あるようですが、その中の1つをご紹介しましょう。

ここで少し、小学校や中学校の社会科で習ったことを思い出してみてください。

日本は、中国の進んだ技術や文化・政治について学ぶため、「遣唐使」という使節団を中国の唐に派遣しました。

はるか昔の630年に始まり、200年ほど続くのですが、唐の衰退により遣唐使が廃止されます。

この遣唐使の廃止がきっかけとなり、平安時代には中国から贈られた梅や桃ではなく、日本人が古来から慣れ親しんできた桜で花見をするようになったそうです。

愛でる花の種類は変わりましたが、花見はまだまだ貴族の間で楽しまれる時代が続きます。

中でも嵯峨天皇(さがてんのう)は毎年献上させるほど、桜の花をこよなく愛したといわれています。

812年に行った「花(か)宴(えん)の節(せち)」は花見の始まりと言われ、貴族の間で「花見」というイベントが定着していくきっかけとなりました。

その後、貴族の時代から武士が力を持つ時代へと変わっていきます。

武将のなかでも花見が好きだったといわれるのが豊臣秀吉です。

醍醐花見図屏風には、秀吉が1300人を招待し、京都の醍醐寺三宝院で開催した花見が描かれています。

秀吉の晩年に催されたこの花見を通じ、どれほど秀吉が花見を愛してやまなかったかを窺い知ることができますね。

時代をもう少し進めましょう。

夜桜

出典:photo AC

江戸時代に入ると、三代将軍・徳川家光が桜の木を奈良の吉野から上野に移植し、江戸に桜の花をもたらし、さらに八代将軍・徳川吉宗が品川の御殿山や王子の飛鳥山に桜を植えて、公園の整備を行います。

今まで一部の人、主に上流階級の人たちのものだった桜が、庶民にとっても身近なものとなり、庶民の間でも花見が定着していくんですね。

ようやく無事、だれもが楽しめる花見となったのですが、明治時代に暗黒の時代を迎えることになります。

文明開化のあおりを受け、桜が植えられていた庭園や大名の屋敷が次々と取り壊されていき、春に花を咲かせていた桜が焚き木用の木として伐採されてしまいます。

「このままでは、桜の木が絶滅してしまう・・・」という危機感を持った植木職人・高木孫右衛門が立ち上がります。

桜の木を自宅の庭に植えて、84品種の桜を守ったのです。

その後、荒川堤に造成された桜並木をはじめ、日本各地で桜の植樹が進み、今では海外にも友好の証として贈られるようになりました。

もし孫右衛門が桜の木を移植していなければ、今私たちが桜の木の下で花見をすることはできなかったかもしれませんね。

スポンサーリンク


「今も昔も、日本人はなぜ花見を楽しむのか?」を考えてみました

桜を見るカップル

出典:photo AC

絶滅の危機を乗り越え、今も私たちを楽しませてくれる桜の木。

私たちはなぜ桜の木の下で花見をし続けるのでしょうか?

日本人のDNAに刷り込まれた「桜」への思い

もともと、日本に神さまが鎮座するといわれる桜の花の下に食べ物やお酒などを供え、それを神さまとともに食べながら秋の豊作を祈るという風習がありました。

古くから続くこの風習が、知らず知らずのうちに「桜の木の下で食べたり飲んだりするものだ」とDNAに刷り込まれたのかもしれませんね。

桜のはかなさを憂いている

桜の花はパッと咲いて、潔く散っていきます。

そんなはかなく散っていく桜の花と少しでも長い時間一緒にいたいという思いが、私たちをひきつけているのかもしれません。

いかがでしたか?

今年の花見は、歴史を感じつつ、しっとりと桜の花を愛でてみたいですね。